E START

E START トップページ > マガジン > 今注目を集めている「短鎖脂肪酸」に着目した花粉症予防策とは?花粉症シーズンを前に詳しく解説

今注目を集めている「短鎖脂肪酸」に着目した花粉症予防策とは?花粉症シーズンを前に詳しく解説

2024-02-05 19:33:16

今年も辛い花粉の季節がやってきます。⽇本気象協会によると、2024年は2⽉上旬からスギ花粉の⾶散が始まると予測されているそうです。

国民の約2⼈に1⼈が発症しており、まさに国⺠病とも言える花粉症ですが、いま新たな花粉症予防策が注目を集めています。

花粉症の仕組み

花粉症の仕組みは、人間の免疫細胞が本来害のない花粉に対して過剰に反応してアレルギー反応を起こしてしまうという”免疫システムの暴⾛”です。そして、体の免疫細胞の半数以上が集まっていて、体の中で最も⼤きな免疫器官と言われているのが”腸”です。

腸が持つ免疫機能は「腸管免疫」と呼ばれ、その働きに影響を与えているのが腸内細菌。それらの群集により腸内フローラが形成されています。腸内フローラを形成している腸内細菌のバランスが崩れてしまうと、免疫⼒低下に繋がるので、バランスを保つことが免疫システムの安定に繋がります。

腸内細菌は⼈それぞれ

これまでは腸内細菌を「善⽟菌」「悪⽟菌」と分類し、「善⽟菌を増やすことが腸内環境を整える」という考えが主流でしたが、最先端の研究では、存在する菌の種類や数は⼈それぞれで異なることがわかっています。

さらに、⼈が摂取した⾷品をエサとして腸内細菌が⾷べることで、腸内細菌から産み出される代謝物質が体に影響を与えていることも判明しています。

個⼈で腸内フローラが異なることを理解し、良い影響をもたらす代謝物質を産⽣するために各⾃の有する腸内細菌に最⼤限活躍してもらうことが重要なのです。

「短鎖脂肪酸」がカギ

最新の腸内環境研究で注⽬されている「短鎖脂肪酸」は、腸内細菌が⾷物の中に含まれるエサとなる成分を取り込むことで作られます。

「短鎖脂肪酸」を産み出す細菌として、バクテロイデス、ルミノコッカス、プレボテラ、ビフィドバクテリウム、フィーカリバクテリウム、ブラウティアが⽇本⼈の腸内には多く棲んでいることがわかっています。これらの菌のエサとなる成分を腸に届けること、そのエサを多様な腸内細菌で代謝しあうことで、「短鎖脂肪酸」を増やすことができます。

腸内細菌の種類や割合は⼀⼈ひとり⼤きく違っています。例えば半分以上がビフィズス菌という⼈もいれば、ほぼゼロという⼈もいます。効率よく「短鎖脂肪酸」を増やすためには、まずは⾃⾝の腸内フローラを調べ、どんな菌が多く棲んでいるのかを知り、その結果に合わせた⾷事を意識することが重要です。

昨今では、腸内フローラの検査キットが安価になり、病院だけでなく、オンラインサービスや薬局等で簡単に検査ができるようになっています。

短鎖脂肪酸を産み出す⽇本⼈に多い腸内細菌

バクテロイデス

多くの⼈で⼀番割合の多い菌として報告されており、⽔溶性⾷物繊維(イヌリンなど)を餌にプロピオン酸を作り出します。

「イヌリン」が多く含まれる⾷材: にんにく、ごぼう、たまねぎ、チコリ、キクイモ

ルミノコッカス

レジスタントスターチ(RS)という難消化性でんぷんを餌に酢酸をつくり出します。そのため、RS分解菌の代表的な種類として知られています。

「レジスタントスターチ」が多く含まれる⾷材: ⾖類、芋類

プレボテラ

⽔溶性⾷物繊維(⼤⻨など)を餌にコハク酸をつくることが知られていて、コハク酸は他の腸内細菌の餌になり、プロピオン酸につくり変えられることが⾒えてきています。

「⾷物繊維」が多く含まれる⾷材: ⻨ごはん、全粒粉パン、グラノーラ、雑穀

ビフィドバクテリウム

いわゆるビフィズス菌で、多くの⽇本⼈が保有している菌です。⽔溶性⾷物繊維(オリゴ糖など)を餌に酢酸をつくることが知られています。

「ガラクトオリゴ糖」が多く含まれる⾷材: ⽜乳、乳製品

フィーカリバクテリウム

⽔溶性⾷物繊維(ペクチンなど)を餌に酪酸をつくることが知られています。果物、野菜、⽞⽶雑穀⽶を⾷べる⼈、運動する⼈に多い傾向が⾒えてきています。

「フラクオリゴ糖」が多く含まれる⾷材: バナナ、はちみつ、たまねぎ

ブラウティア

内臓脂肪⾯積が⼩さい⼈に割合が多い菌として報告されています。酢酸を作るはたらきが知られており、カカオポリフェノールによって増えることが⾒えてきています。

「ハイカカオ」が多く含まれる⾷材: ハイカカオチョコレート、麹

國澤純氏のお話

今回は、短鎖脂肪酸に注目した花粉症予防について、国⽴研究開発法⼈医薬基盤・健康・栄養研究所(NIBIOHN・ニビオン)ヘルス・メディカル微⽣物研究センター センター⻑の國澤純氏にお話を伺っています。

「免疫について考える際に⼤切なことのひとつは、『何に対する反応か』ということです。例えば、インフルエンザウイルスやコロナウイルスなど、病気を引き起こすものに対しては、免疫がしっかりと反応し、体内からウイルスを排除することが⼤切です。⼀⽅で、花粉などの本来体に害のないものに対しては、免疫は過剰に反応しないように教育を受けているのですが、このシステムが崩れて免疫が暴⾛してしまうと、花粉症などのアレルギーを引き起こすリスクが⾼まります。腸内細菌が作り出す短鎖脂肪酸は、この免疫システムの暴⾛を抑えることが知られています。短鎖脂肪酸を作り出すためには、その材料となる⾷物繊維やオリゴ糖などの⾷品成分と、短鎖脂肪酸を作ることができる細菌がセットで必要となります。このように、腸内細菌と⾷品をセットで考えることで、腸内環境がより良くなることが期待されます。」

 

花粉が蔓延するこれからの季節。免疫ケアで花粉症対策を行ってみてはいかがでしょうか。

情報提供元: マガジンサミット

  • Twitter投稿
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

人気記事

この記事へのFacebookのコメント