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通勤電車でのイヤな臭い、カラダへの悪影響は?

2016-10-26 18:30:17


執筆:井上愛子(保健師、看護師)

通勤電車やオフィスなど、密閉された空間で、臭いが気になる…という経験はありませんか?
もしかすると、今この記事を読んでいるあなたも、まさに周りの臭いに悩まされている状況かもしれませんね。
そのような気になる「臭い」や「異臭」は、直接カラダに影響を与えるのでしょうか。

臭いが身体に与える影響


「異臭」と聞くと、どんな臭いを思い浮かべますか?
ひとことで「臭い」と言っても、地球上にはなんと約40万種類ものニオイ物質が存在すると考えられています。
香りの好みも人それぞれ、同じ臭いでも異臭と感じたり、さほど気にならなかったりと、個人差が大きいでしょう。しかし、その人にとって苦手と感じる臭いや、不快な臭いは身体にも影響を与えることがわかっています。
たとえば、不快な臭いをかぐと、脳はストレスを感じ、気持ちを安定させるために体内ではホルモンが分泌されます。
このホルモンの働きにより血管が収縮したり、拡張したりすると、人によっては頭痛の症状が出てしまうことがあります。また不快な臭いは脳の大脳皮質という部分を介して嘔吐中枢を刺激し、吐き気を誘うこともあります。
好みの香りには精神のリラックスなど良い効果がある一方、異臭と感じる臭いの身体への悪影響は侮れません。

臭いに関する注意喚起も


では具体的にどのような臭いが、不快だと感じられるのでしょうか。
電車の中などでよく問題となるのは体臭や口臭、整髪剤、衣類につく臭いなど。
いずれも程度や個人の受け止め方に差があり、一概に否定することはできませんが、近年ブームともなっている香り付きの柔軟剤の臭いでさえも、消費者生活センターに健康被害を訴える相談が急増しているそうです。
おもな症状は頭痛、吐き気や、気分不快、鼻づまり、咳など。これらは化学物質過敏症という病気が関係しています。
国民生活センターも、消費者へのアドバイスとして商品の選択や自分だけでなく他人が感じる臭いも認識するよう注意喚起をしていて、臭いを感じてこのような症状がでた場合には注意が必要です。

タバコの臭いは健康被害の可能性も


タバコの臭いは健康被害の可能性も
衣類につくタバコの臭いも、苦手な人にとっては不快な臭いの一つでしょう。実はこの臭いも健康への影響があると考えられています。
タバコを吸う本人と、他人の煙を間接的に吸う二次喫煙の健康への悪影響は広く知られていますが、部屋や洋服などに染みついたタバコの煙の成分を吸い込むことでも健康への被害がでるという「三次喫煙」の概念が注目されています。
健康被害の具体的な大きさについては現在調査が進められている段階ですが、とくに幼いこどもや妊婦は通常の大人よりも影響を受けやすいと考えられています。

そのほかにもある!注意したい臭いとは


通勤電車やオフィスに限らず、日常生活の中で注意をしたい「異臭」にも触れておきましょう。
例えば、家の外壁塗装などに使用される塗料。一般的にシンナーと呼ばれる有機溶剤は、その臭いを長く吸い過ぎると、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
シンナーの強い臭いを嗅ぐと吐き気やめまいが起こったり、長期的に吸い続けると呼吸困難やシックハウス症候群が起こることもあります。
また、家庭でも起こりやすいのは複数の洗剤を混ぜてしまった時に発生する異臭。
洗剤ボトルにも「混ぜるな危険」という表示がよくみられるように、特定の種類の洗剤を混ぜてしまうと、強い刺激臭を感じる塩酸ガスが発生する恐れがあります。嗅覚は身体を守るためのセンサーと心得、普段とは違う臭いに気がついた時は、必ず対策を取りましょう。

臭いの感じ方は人それぞれ


ここまでさまざまな「臭い」について見てきましたが、同じ臭いでも好みと感じるか、不快と感じるかは人それぞれです。
通勤電車やオフィスなどの臭いが苦痛な場合は、体調不良になるほど我慢することは避けたいものですが、マスクを着用したり、自分の好きな香りのものを持ち歩いたりするなどして対策を取りましょう。
また、自分にとって落ち着く香りが他人にとっては不快な臭いになるかもしれない、ということはマナーとして意識しておきたいものですね。

<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン

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情報提供元: mocosuku

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