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オフィスワーク中の3人に1人 「ドライアイ」の原因と対策

2016-10-20 18:30:48


執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師・保育士)
目の現代病と言われるほど身近になった「ドライアイ」。
日本では2200万人の患者がいると言われ、オフィスワークをしている3人に1人がドライアイとの報告もあります。「目の乾きが当たり前になっている」「目薬が手放せない」心当たりがある人は、ドライアイかもしれません。
このドライアイについて、詳しく見ていきましょう。

目にとってとても大切な“なみだ”


ドライアイは、涙の量や質の異常によって角膜(黒目)や結膜(白目)の健康が損なわれる病気です。
涙は油・水・粘液からできる3層で構成されていて、目を乾燥から防いだり、ゴミやホコリを洗い流したり、角膜や結膜に栄養を運ぶ大切な役目をしています。
目の表面は涙の膜で均一に覆われて常に潤っているのが通常の状態です。しかしドライアイにより涙の量が少なくなったり、量は正常なのに質が変化したりすると、バリアとしての涙の働きが不十分になり、角膜や結膜が乾燥して傷が付きやすくなってしまうのです。

なぜドライアイになるの?


ドライアイはさまざまな原因で起こりますが「加齢」が関係していることもあります。
涙は加齢によって量や油分の割合が減少し蒸発しやすくなるため、老化現象として起こりやすくなるのです。
ほかにも目の手術をした時、薬の副作用、ほかの病気が原因で起こる場合もありますが、多くは生活環境が原因で起こります。
空気が乾燥している冬は、ドライアイになる人が増加します。夏でもエアコンが効いた乾燥した室内は要注意です。ほかにも、コンタクトレンズの使用やストレスで涙の分泌が抑制されることもあります。
ドライアイの患者数は、パソコン・ケータイの普及とともに増加傾向にあるため、ディスプレイを長時間見続ける環境が大きな要因だと考えられています。長時間見つめ続けると、まばたきの回数が減って、気がつかないうちに目を乾燥させます。
これは「VTD症候群」と呼ばれ、目以外にも心身に支障をきたす恐れがありますので注意が必要です。

ドライアイの症状と検査方法


症状


実際にはどんな症状が現れるのでしょうか。ドライアイの名前の通り、目の乾燥感のほかには、目が疲れる、目がゴロゴロする、目が痛い、目が重い、充血、光がまぶしい、見えづらい、目を10秒以上開けていられないなどの自覚症状が出ます。
また病名とは反対に涙が多く出る場合もあります。これは乾燥した目の表面が刺激されて涙が出るためです。

検査方法


実際に涙の量が少ないか、涙の質に異常があるのかは眼科での検査で分かります。涙の量は、ろ紙を目に5分間挟んで紙が濡れる長さを調べる「シルマー試験」という検査で調べます。
涙の質は、色がついた点眼薬をさして涙の安定性を調べる「BUT検査」を行います。どちらも強い痛みなどは伴わず、短時間で終わる検査です。

ドライアイの予防


涙の量と質を保って目の健康を守るためには、目の乾燥を防ぐことが大切です。
エアコンは直接当たらないようにし、加湿器を置くなどして室内環境を整えます。
パソコンを長時間使う人は、画面を上から見下ろすように椅子を高くする、まばたきの回数が減らないように1~2時間おきに目を休めるなどの工夫をしてください。作業中は、濡れたガーゼマスクをすると、吐き出す息で目が潤う効果があると言われています。
またソフトコンタクトレンズ使用者は、ドライアイのリスクが高まります。ソフトコンタクトは水分で形状を保つため、目の水分がコンタクトレンズに奪われて目が乾燥しやすくなります。そのため、含水率の少ないレンズ選ぶのがよいでしょう。
ドライアイは、目の病気です。
また「シェーグレン症候群など、ほかの病気の症状としても起きている可能性もあります。「目が乾くくらいで」と思わずに、症状に心当たりがある方は、早めに眼科を受診するようにしましょう。
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン

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情報提供元: mocosuku

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