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なぜこの広告は目を奪うのか。JSOL×安楽宙斗、哲学的駅広告の正体

2026-01-21 11:00:41

幅広い分野に高度なITサービスを提供しているJSOL(ジェイソル)が、2025年12月1日より東京・大阪・名古屋の主要駅において、スポーツクライミングの安楽宙斗選手(JSOL所属)を起用した駅貼りおよびサイネージの交通広告を展開。昨年、世界選手権ボルダー種目で優勝した安楽選手の凛々しい表情とクライミングの競技性を活かしたダイナミックなビジュアル、哲学的ともいえるコピーで駅利用者の目を引き、話題を呼んでいます。

JSOLというと一般的にはあまり耳慣れない会社ですが、この広告は強烈なインパクトで非常に興味を引くものとなっています。この広告はどのように誕生し、どんなメッセージが込められているのか。JSOL経営企画本部広報部広報課の合志(ごうし)さんと渡邉さんを取材し、その背景と意図を深掘りしました。

今回の交通広告はキャリア採用を軸にしたものだそうですが、これを実施することになった背景について教えてください。

渡邉さん:キャリア採用に課題があるというところが出発点でした。その問題を乗り越えるために、当社の魅力や独自性を十分に伝えつつ、自社ブランドそのものの認知度も上げていきたいという目標がありました。「キャリア採用のターゲット層にしっかりと響くメッセージ」と「社会全体におけるブランディング」の二軸を両立させる必要があり、どのようなメディアで、どのようなクリエイティブを展開すれば効果的か、社内で様々な議論を重ねました。そして、多くの方が日常的に利用し、様々な層にアプローチできる交通広告が最適だという結論に行き着きました。

駅広告の場合、多くの人が通勤・通学で足早に通り過ぎる場であり、立ち止まってじっくり見るわけではありません。そのため、役員からも「一目で伝わるインパクトが必要だ」という意見がありました。

また、単なる採用広告ではなく、多様なバックグラウンドを持つターゲット層に向けて、当社がどんな姿勢で事業に取り組み、どんな未来を描こうとしているのかを、ブランドメッセージ「今はない、答えを創る。」のもとで一瞬で感じ取ってもらえるよう、細部までこだわって作り上げました。

コピーはできるだけ短く要素を絞り、ビジュアル面も視覚的にも強く訴求できるものにする。その方針で今回のクリエイティブを決めていきました。

安楽選手とブランドとの親和性という点も大きかったのでしょうか。

渡邉さん:そうですね。当社は近年、ブランドの世界観をリニューアルしました。「今はない、答えを創る。」というコピー自体は以前からありましたが、それを社会にどのように伝えていくかを改めて見直しました。ブランドカラーの色使いやグラデーション、ライトトレイル(光の線)といったビジュアル要素などをブラッシュアップし、それとほぼ同時期に安楽選手の所属企業となった経緯があります。今回の広告では、ブランドメッセージ「今はない、答えを創る。」を象徴するビジュアルとして安楽選手を起用し、ブランドの世界観を表現しました。

合志さん:スポーツクライミングは高みに向けて先の変化を見通し、自分の限界や壁を乗り越えていく競技です。同じコースでも人によって攻略方法が異なり、状況に応じた戦略性や柔軟な発想が求められます。そういった競技の特性と限界に挑み続ける安楽選手の姿が、当社の姿勢と重なりました。そういった意味でも、安楽選手は当社のブランドイメージと非常に親和性が高いと感じています。

キャッチコピーは複数パターンありますが、採用広告としては異質な「哲学的コピー」だと感じる方もいるかもしれません。その狙いを教えてください。

渡邉さん:今回の広告は全部で7種類あり、そのうち「ともに挑もう、ITの最前線へ。」と「大規模ITプロジェクトで、大きなやりがいを。」の2つは明確に採用広告としてのメッセージを打ち出しています。それ以外の種類は、当社がどんな事業を行っているか、その事業にどのような姿勢で向き合っているのかを伝えることを重視しました。

そもそも「JSOLが何をしている会社なのか知らない」という方が多いと思います。そこで、事業内容を端的に示しつつ、採用メッセージも打ち出すことで「このような会社で働く方を採用しています」ということがわかる構成にするため、駅ごとに採用寄りと企業寄りのコピーを組み合わせて掲出しています。

今回の広告で、最も伝えたかったメッセージは何でしょうか。

渡邉さん:一番は「今はない、答えを創る。」というブランドメッセージです。「今はない、答えを創る。」という言葉には、今までにない新規事業を創り出すという意味に加え、ITで課題を解決することで顧客自身も気づいていなかった答えを導くという意味もあり、そうした当社の姿勢が伝わるような広告としました。

合志さん:即戦力人財の募集なので同業他社のSIer(エスアイヤー)さんやITコンサルタントをされている方の採用が多いのですが、そのなかでもチャレンジ精神を持っている方を強く求めています。それが今回の広告ビジュアルともリンクしています。求めている要素としては、IT系のエンジニアやコンサルタントはチームで仕事をすることが多いので、チームワーク力もキャリア採用で重要になります。

近年のIT業界では採用が難しくなっていると聞きます。

合志さん:いろんな会社がIT系人財を求めており、IT系の会社はもちろん、それ以外の企業でもIT系人財の需要が高まっています。たとえば、食品系や自動車系などの企業でもIT系人財は必要不可欠になってきていますから、人財の取り合いのような状況です。

とくに当社は即戦力層の採用が中心なので、人財獲得の競争率が高く、より難しいところがあります。

まずは「JSOLはITの会社だ」と気づいてもらうというのが、広告出稿の大きな意図としてあります。

最後に、今後の展望について教えてください。

合志さん:採用領域にとどまらず、サービス・ソリューションの発信にも挑戦と創造を象徴する表現を取り入れ、企業全体の思想を浸透させることで、「この会社で働いてみたい」と思ってもらえるブランドを築いていきたいです。今後は今回の駅広告で得られた知見を活かし、デジタルとリアルが融合した体験型広告など、「短時間で強い印象を残す表現」と「深く理解してもらう仕掛け」の両立を追求できればと考えています。

情報提供元: マガジンサミット