イ・リナ代表、出産後の再始動。6つの新セミナー開催への想いとは?
2024-04-25 17:00:23
今回は、国際TCHケアオフィス株式会社 代表取締役社長イ・リナ(韋梨菜)さんの新たな取り組みについて伺った。
2023年3月、りな先生のもとに第一子が誕生。しかし育休は取らず、「この頃の私は怖いもの知らずで仕事人間でした」と自身を形容する。りな先生によると、帝王切開での出産を予定していたため、産院にコンピューターとポケットWi-Fiを持ち込み、手術予定時間の1分前まで仕事をしていたという。
出産の日は院内出張セミナーの日でインストラクターを派遣し指示を出しながらセミナーを開催していたそうだ。インストラクターによる院内出張は10時〜16時で、りな先生の第一子が誕生したのが13時58分。帝王切開の縫合で14時50分には病室に移動したが39度の高熱と激しい睡魔で目を閉じてしまったという。
だが、16時のインストラクターからの院内出張終了の報告にはしっかりと連絡を返しており、「先生、出産予定日いつでしたっけ?」という質問に「今日、さっき産みました」と返すと、大慌てで寝ているように言われた記憶があると話す。
入院期間は1週間。りな先生は、「傷の痛みは強かった上、帝王切開でも後陣痛がありました。それでも入院期間中はコンピューターを持ち込んだことで仕事がはかどりましたし、必要なことでした」と語る。当時はコロナ禍で、対面形式で行っていたセミナーもオンラインが主流になりつつあったので、オンラインに切り替えたそうだ。
また、「退院後からは新生児のお世話をしながら、デスクの横にオートスウィングベッドを設置し、リモートで仕事をする日々でした」と語る。育休を取らなかった理由については「育休とは従業員の制度のため、会社を経営している女性に制度は適応されません。取りたくても取れないのです」と説明。
続けて「私が仕事をしなければ、会社は倒産してしまいます。休みたくても休めないので、リモートをしていました。女性起業家のためにも育休の代わりとなる制度がいつかできれば嬉しいです」と話す。
2024年10月には第二子が誕生。第二子のお産は壮絶だったと語り、「第一子出産後から淡々とセミナーを進めてきたように見えるかもしれませんが、その裏で私の体はとんでもない状態になっていました。妊娠中の5月に初めて喘息にかかり、吸入器が手放せない生活。さらには喘息の激しいせきにより肋骨を骨折しました。それだけではなく、舌咽神経痛を発症したり、心電図で引っかかり通院したり、重度の貧血で鉄剤を注射するため週に2回通院する日々。さらに最後は切迫早産により絶対安静のため緊急入院しました。予定帝王切開日まで入院し、無事出産。その2日後、子連れ入院を行い帝王切開後のボロボロの体で2人の赤ちゃんのお世話をしました。もう一度やれと言われても絶対にやりたくないほどで、気合と根性で乗り切りました」と振り返る。
第一子誕生の際と同様に育休の制度は利用できなかったため仕事に追われていたとし、「ありがたいことに仕事は増えており、企業からの依頼もきています。それに合わせて新たなセミナー資料を作成する日々でした」と語る。
りな先生は6つの歯科医療従事者向けのオンラインセミナーを始動させており、精力的に取り組んでいる。
1つ目はMFTのセミナー。MFTとは「口腔筋機能療法」を指し、正しい舌の動きや口のまわりの筋肉の動きを習慣化し、正しく機能させる訓練のことだ。
りな先生は、「昨今、お口がぽかんと開いた子どもが多い」と指摘し、「日常的に口が開いている状態を、口唇閉鎖不全症(こうしんへいさふぜんしょう)といいます。小児は見た目の悪さから保護者からの指摘で気付くことがあるものの、大人は気付いていないことが多くあるのです。口唇閉鎖不全症の患者数はかなり多くいるとされ、全国の3〜12歳の小児3399人を対象に行った2021年の大規模調査では、30.7%の小児に口唇閉鎖不全症が疑われました※1。
口唇閉鎖不全症は、食べる、話すなどの口の機能が十分に発達していない病気である『口腔機能発達不全症』の症状の一つ。これを歯科医院でトレーニングして指導するための導入セミナーです」と説明する。
2つ目は歯科食育®︎のセミナー。歯科から食の大切さを伝えるためのセミナーだという。「いわゆる『食べる』という面から食事や食材のことだけでなく、食物をバランスよく食べるための知識を身につけ、食品の選び方を学び、また食堂、食卓、食具など、食事の環境やそれらを計画することなど、食の周辺や食文化の育みを伝えていきます。さらに新しい食文化の創造など、広い視野で『食』について学んだり、考えたりします。 歯科からの『食育』は、歯や口の発達に応じて、食べるという機能の発達を促し、よく噛んで食べる習慣を獲得し、歯や口の健康を守ることで食べる機能を維持して、生涯を通じて安全で快適な食生活が送られるよう支援ができます」と説明。
加えて「その中でも、患者さんと密なコミュニケーションが図りやすい歯科衛生士は、食育の実践者として最も適したポジションであると考えられ、それぞれのライフステージに合わせた食べ方と、口と身体の健康のアドバイスをしていくこともできます」と補足する。
3つ目は母親教室セミナー。「歯科医院でプレママから教室を開きたい歯科医院に向けて、開き方をレクチャーするセミナー。母親教室を行なっている歯科医院は少ないので、導入するとプレママから安心して通っていただくことができ、生まれてからもお子さんのお口をサポートさせていただくことが可能となります。妊婦の口腔内は赤ちゃんにとっても密に関係しており、その重要性を知ってもらうことにもつながるのです」と説明する。
4つ目は舌のセミナー。「東洋医学では行われる舌診断を詳しく解説していきます。歯科は舌を見る機会が多いにもかかわらず、その見方はほとんど学ぶことがありません。現代の歯科医師・歯科衛生士のカリキュラムが西洋医学から来ているからでしょう。そのため、詳しく舌を診れる歯科医療従事者は少ないのです。こんなにもったいない話はありません。口を開けている患者様の舌をよく観察できる環境にいて、その舌は多くを語っているというのにノータッチ。このセミナーでは舌全体の色や形・舌の上のこけの色や形などの見方をレクチャーします」と説明する。
5つ目は副業セミナー。「歯科衛生士向けのセミナーで、フリーランス歯科衛生士になるためのロードマップを伝えます。これは第二子妊娠中に計画し、出産1ヶ月前に開催しました」と説明する。
そして最後が離乳食セミナー。「これは念願かなっての講座で、この日をずっと待っていました。私は離乳食コーディネーターの資格を持っており、歯科食育講座や母親教室セミナーでもたびたび離乳食について触れてきました。しかし、実践するのは初めてだったので、我が子に試してこそ内容に真実味が出ます。私が今まで講座で伝えてきたことは果たして正しかったのかどうかを第一子の例を通じて報告する形のセミナーです。我が子が離乳食を開始してから幼児食に移行するまでは経過を見続けるしかありませんでしたが、幼児食に移行して初めてこのセミナーが開催できるようになりました」と説明する。
最後に、「臨床には出てはいませんが、こうして自宅にいながら働ける方法を確立しました。今後は子どもたちが幼稚園に入園するまで自宅保育で育てながら、コロナの終息とともにそろそろ対面式のセミナーにも復帰していこうかと考えています。これからの働き方もライフスタイルに合わせて楽しみながら変化させたいです」と今後の展望を語った。
※1 参考:https://www.niigata-u.ac.jp/news/2021/83290/
情報提供元: マガジンサミット