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年末年始は事故の季節?増加する原因とは

2016-12-27 18:30:26


執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター)
医療監修:株式会社とらうべ
内閣府が公表している「平成26年度交通事故の状況及び交通安全施策の現況」によると、交通事故発生件数、交通事故死傷者ともに12月がピークになっています。
年の後半になると件数が多くなる傾向がありますが、年末年始ということは影響しているのでしょうか。
今回はその背景を探っていきたいと思います。

交通量に比例する事故発生件数


年末には年の瀬に行うイベントが目白押し状態になります。仕事納め、習い事のけじめ、クリスマス、忘年会などなど。
加えて日常業務も「師走」と言われるように、バタバタと慌ただしくなる時期でもあります。
この「慌ただしい」「忙しい」という感覚が交通事故を引き起こす要因となるのでしょうか、交通量も交通事故発生件数も例年12月がいちばん多くなっています。
参考までに、2015年の統計では交通事故による死者の数の最多日は12月25日の26人、最小日は2月5日の3人となっています。

12月という季節の特徴も影響


日照時間が最も短い12月。死亡事故の発生件数は夜間が多いことからも、12月は事故発生の確率が高くなります。
加えて、大雪に見舞われるような1月や2月ですと、いっそのこと自動車での外出そのものを控えることも多くなりますが、12月だと地域によっては、雪の降り始め、橋の凍結し始めなど、まだ万全の準備ができていないということもあるのかもしれません。
たとえば、タイヤを冬用のスタッドレスタイヤに代えていなかったり、チェーンを装備していなかったりなどです。
また、うす暗いのにヘッドライトがついていなかったケースなども多いようです。

年末の帰省ラッシュ:いわゆる「サンデードライバー」


「サンデードライバー」は、たまの休暇くらいしか自動車を運転しないので、運転技術が未熟なドライバーを指します。
正月休暇になって故郷に帰省するような場合、帰省ラッシュで交通量が多くなっているうえに、慣れていない運転と慣れていない道路状況に、事故に至ってしまう確率も高くなるでしょう。

歩行者の油断


運転者と同時に、歩行者の方も注意しなければなりません。
忘年会帰りで酔っ払っていた、友人たちと話が盛り上がって自動車への注意が散漫になっていたなども想定されます。
ちなみに、子どもの交通事故件数は5月から7月がピークだそうです。子どもにとってはこの季節は「魔の季節」と呼ばれているようで、4月に新学期を迎え緊張した日々が続いてきたのが、この時期になると慣れてきて、事故につながるのだそうです。
ですから、「慣れ」や「油断」といった、心理的要因も事故に関連してくることになります。

事故回避に向けて


以上のような事故リスクを回避するためには、次のようなことに気をつける必要があるでしょう。

いつも以上に気を引き締めて運転する


車の冬支度を整える


早めのヘッドライトの点灯


もちろん、飲んだら絶対、運転はしない


歩行者も交差点など道路を歩くときは、注意を怠らない


電車事故はどうか


自動車事故に対して、電車事故について12月は何か特徴的なことがあるのでしょうか?
国土交通省のデータによると、電車による人身事故は、関東ではここ数年、事故数が増えているようです。
中には鉄道自殺も含まれ、2015年度は「毎日一人が鉄道自殺をしている計算になる」とのこと。
自殺のピークは4月5月が多くなっていて、12月は統計的にはむしろ少ないですが、年の瀬に絶望がこうじて自殺に至る可能性はあり得るでしょう。
その他には、とくに12月と限定された統計は見つかりませんでしたが、ホームからの転落、線路内立ち入り、踏切の直前横断などの事故が指摘されています。
多くの人が出かけ、飲んで酔っているとか、気のゆるみなどが、これらの事故につながることは容易に想像できますから、くれぐれも気をつけていただきたいものですね。

【参考】
交通事故・弁護士相談広場『交通事故が発生しやすい時間帯・季節はある?』(https://www.jicobengo.com/knowledge/traffic-accident-season.html)
Business Journal『鉄道の人身事故、関東で増加、年間600件で毎日1人以上が自殺~警察は情報開示拒否』(http://biz-journal.jp/2013/12/post_3598.html)
<執筆者プロフィール>
山本 恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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情報提供元: mocosuku

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