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夕方になると目が見えづらくなる「夕方老眼」

2016-11-30 18:30:17


執筆:井上 愛子(保健師、看護師)

「朝はくっきり見えているに夕方になると見えづらい」
「帰宅途中で目がかすむ・・・」
こんな悩みを持つ人が増えています。
このような目の状態に対して、「夕方老眼」という名前がついていることをご存知ですか?
近頃メディアでも特集されているこの夕方老眼、具体的にはどのような症状があるのか、詳しく見ていきましょう。

そもそも老眼とは


私たちの目には「水晶体」と呼ばれるレンズがあります。
この水晶体が厚くなったり薄くなったりすることで、私たちは快適に物を見ることができています。この目のピント調整には、「毛様体(もうようたい)」と呼ばれる筋肉が関わっています。
毛様体筋がぎゅっと縮まると水晶体が厚くなり、近くの物に焦点が合います。反対に毛様体筋が緩まり楽な状態になると、水晶体は薄くなって遠くのものに焦点が合います。
水晶体は年齢を重ねるごとに硬化し、毛様体の筋力も衰えていきます。
するとレンズを厚くすることができなくなり、近くの物が見えづらくなっていきます。
この加齢によるピント調整能力の衰えが「老眼(老視)」です。40代から症状を自覚し始める人が多いといわれています。

「夕方老眼」は造語


この頃は、20代や30代で老眼のような見えづらさを訴える人が増えてきています。
「夕方老眼」は、その啓発のために広まった造語のようです。正式な医学用語ではありません。
増加の原因がパソコン作業の増加やスマートフォンの普及だと考えられているため、「スマホ老眼」と呼ばれることもあります。
パソコンやスマホの画面などの情報端末を長い時間使用すると、毛様体筋は近くを見るためにずっと収縮し続けて、筋肉疲労を起こします。
その結果、ピント調整機能がうまく働かなくなり、見えづらさを感じる人が増えているのです。
見えづらくなったとしても、その後に眼をしっかり休ませれば朝には見えづらさは解消されます。
しかしそのまま無理を続けると、眼精疲労やドライアイなどの目の症状だけでなく、身体の痛み・頭痛・不眠や抑うつ症状があらわれる「VDT症候群」という病気に繋がる恐れがあります。

夕方老眼・予防と対策


情報端末の画面を見るのを控えるのが一番ですが、仕事の都合などで、そういうわけにはいかない場合も多いと思います。
今回はパソコン作業中に簡単にできる方法をいくつかご紹介します。

目の乾燥を防ぐ


目が乾燥すると眼症状のトラブルを招きやすくなります。
エアコンの風は直接、目に当たらないようにします。部屋が乾燥しているときは、加湿器を置くなどしましょう。
またパソコン作業中は、まばたきの回数が4分の1に激減するといわれていますので、意識的にまばたきするようにしましょう。

作業環境を整える


パソコンの画面は、目より下にします。
そしてパソコン画面は部屋の明るさと同じくらいに設定します。明るくし過ぎないようにしましょう。
姿勢は、椅子に深く腰をかけ、背もたれに背を十分にあてます。1時間ごとに10~15分程、休憩するのが理想的です。

目を温める


目が疲れてきたときは、目を直接温めることが効果的です。市販されているアイマスクを使えば手軽に温めることができます。
目を温めると、まぶたの縁にある「マイボーム腺」(まつ毛の内側にある皮脂腺)から油が溶けて目の表面を潤します。
夕方老眼を感じたら、夜はスマホを見たりせず、しっかり目を休ませましょう。
翌日以降も症状が続いたり、だんだん酷くなっている場合は眼科へ相談して早めに対処しましょう。
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン

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情報提供元: mocosuku

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